第34章 そっとぎゅっと*水戸部*
悩んで悩んで一つの決断を下した。
バスケ部の練習が終わるのを見計らって、校門の前で彼を待つ。
部活で朝が早く帰りが遅い彼と、一緒に登下校をしたことはない。
友達や部活の仲間と過ごす時間を邪魔したくなかった。
やっぱり帰ろうかな、と歩き出そうとしたけれど、言わないとこれから先も不安を抱えていくことになる。
胸がぎゅうっとして息苦しい。
すると、誰かに後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、小金井くんの隣に待ちわびていた彼が立っていた。
「何してるの?もしかして水戸部待ってたの?」
「うん…。あの、水戸部くんこれから少し時間もらえるかな?」
彼はこくり、と頷き、部活の仲間たちと別れた。
どうしたの?大丈夫?と言っているかのように、眉毛を下げて私の顔を覗き込む彼。
固まって強張った顔を無理やり笑顔にして、駅へと向かった。