第31章 怪我の功名*今吉*
辿り着いたはいいけど先生は丁度不在のようで、保健室には静けさが広がっていた。
「しゃーないわ、ワシが手当てしたるさかい。」
翔一は私を椅子に降ろし、棚からガーゼや消毒液、包帯などを取り出した。
「…出来るの?」
「アホか。バスケやっとれば怪我なんか当たり前やし、テーピングも自分でやっとるくらいやで?」
そう言うと、翔一は手早く私の手当てに取りかかった。
手際が良すぎて、この人本当に何でもできるんだなと感心してしまった。
擦り傷は大分痛みが引いてきたけど、足の鈍い痛みはますますひどくなるばかり。
翔一は私の痛めた足首を手に取り、じっと眺めた。
「…ちょっと腫れとるな。冷やしとこか。」
氷嚢の冷たさが腫れた足に心地よく、しばらく静かな時間が流れた。
時計を見るとHRはあっという間に終わっている時間で、外から帰る子達の話し声が聞こえてきた。
「翔一、ごめんね。もうすぐ部活の時間でしょ?あとは自分でやるから行ってくれていいよ?」
「…ホンマにそう思てる?」