第30章 眠る君に安らぎを*緑間*
「し、真ちゃん!?起きてたの!?」
「あれだけ触られれば目が覚めるのだよ。」
好き勝手触れて、さらにほっぺにキスまでしてしまったのが見つかってしまっていて、恥ずかしさと気まずさが込み上げる。
複雑な表情を浮かべる私を気にせず、椅子に座った彼は私に足の上に座るように促した。
彼に背を向けるように腰掛けると、重みで椅子が少し沈んだ。
「…重いでしょ?」
「俺はお前を重いと思ったことはない。」
そう言って、彼は私のお腹に腕を回し、頭を肩に預けた。
背中に伝わる温もりが暖かくて、心地いい。
「起こしちゃってごめんね。」
「いや…あのまま眠ってしまう方が身体に悪い。だが、毛布を掛けてくれたことには感謝するのだよ。」
「どういたしまして。」
さっきから彼がずっと頭を私の肩に乗せたままなので、顔を見ることができない。
緑の髪が触れてくすぐったいんだけど、何だか胸が暖かくなる嬉しい重みを感じる。
「真ちゃん、お風呂沸いてるよ?もう寝るなら入っておいでよ。」
もう夜も遅いし、眠るなら暖かくしてベッドで眠った方がいいと思っての提案。
だけと、彼から返ってきた答えは「そうだな。」でも「まだいい。」でもなかった。
「…もう少しだけこのままでいてもいいか?」