第30章 眠る君に安らぎを*緑間*
「…うん。」
真ちゃんのお願いを断るわけもなく、何も言わずにそのまま後ろから抱き締められる。
彼はぴたりと身体を寄せて、まるで身体全部を使ってわたしを包み込んでいるみたい。
…甘えてくれているのかな?
滅多に弱さを見せたりしない彼が、私には時折甘えて頼ってくれることがとても嬉しかった。
「…最近忙しそうだったもんね。」
「ああ。…こうしてお前を抱き締めていると、とても落ち着くのだよ。」
彼が一息つける場所になれていたなら、それは幸せ。
いつでも彼の心の拠り所でありたい、と思う。
「すまない…。身体が冷えてしまっているな。」
そういえばお風呂に入ってから大分時間が経ってしまった。
一人で彼をベッドで待っていても何だかなぁ。
「うーん…もう一回真ちゃんとお風呂入ろうかな。…一人で寝るの寂しいもん。」
「そうか…。じゃあ一緒に入るのだよ。」
こうして自分の時間も私に分けてくれるほど、心を許してくれている彼との時間が愛しい。
釣り合わないかもしれないけど、あなたが私を必要としてくれるならそれで十分。
いつでもあなたに安らぎを。