第30章 眠る君に安らぎを*緑間*
毛布を持って彼の部屋に戻ると、さっきと同じ状態のままだった。
眠る彼の肩に毛布をそっと掛け、邪魔そうな眼鏡をゆっくり外した。
そういえばこんなに近くで彼の顔をまじまじと見れることは滅多にない。
並んでいても彼とは約40cmの高さの差があるし、キスする時は顔が近付いてもすぐに離れてしまうから。
羨ましいくらい睫毛長いなぁ。
肌もお手入れとかしてないはずなのに白くてきれい。
鼻筋も通ってるし、やっぱ改めて見ると整った顔立ちをしている。
でも、目の下にはうっすら隈が出来ている。
…大学忙しそうだし、疲れてるよね。
ふと、触れたくなって彼の髪をそっと撫でた。
意外とふわふわしていて、柔らかな緑色の髪。
今度は彼の顔に指を滑らせた。
…あんまり触ってると、さすがに起こしちゃうかな。
頬にちゅっ、と軽く口づけをし、おやすみなさいと囁いた。
踵を返して、部屋を出ようと扉のドアノブに手を掛けた。
「、待つのだよ。…こっちへ来い。」
部屋に低く落ち着いた声が響いた。