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黒子のバスケ*Short Stories2

第29章 君の一番になりたいんだ/黒子*桜井


後ろ手で鍵を閉めると、ぎゅっと私を抱き寄せた。

「テ…テツくん?」

私の肩に頭を寄せ、縮こまっているように見えたテツくんをそっと抱き締め返した。

「…すみません。嫉妬してしまいました。」

嫉妬…?テツくんが…?

耳元で囁くように優しく問いかけた。

「…何に?」

「火神くんと木吉先輩に、です。僕がに出来ないことを二人は簡単にやって、を喜ばせていましたから。」

恥ずかしいからか、中々肩に顔を埋めたまま私と目を合わせてくれないテツくん。

私は頭を寄せてくっつけて、テツくんの小さなモヤモヤした気持ちを分け合った。

「私はいつもテツくんの優しさで幸せなんだけどな。小さいことでも気にかけてくれて…そういうところ好きだよ。」

そう言うと、テツくんは顔を上げてようやく私の方を見てくれた。

「…すみません。取り乱してしまいましたね。」

いつもの冷静な表情を浮かべ、落ち着いた様子で私から腕を離した。

「ううん、私テツくんが妬いてくれてちょっと嬉しかった。」

愛されてるんだな、って不謹慎だけど感じた。

「…こんな気持ち、初めてなんです。戸惑いますけど、やっぱり僕はそれだけ君が好きなんですね。」

テツくんがふわりと微笑むから、私の気持ちも自然と穏やかに暖かくなる。

私もね、恋をしてこんなに愛されてるって感じるの初めてなの。

ヤキモチすらも愛しいほどに、私も貴方が好きだよ。
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