第27章 告げられない想い/高尾*宮地
俺はずっと前に自分の気持ちには気付いていた。
を「幼馴染み」としてではなく、「異性」として好き、だって。
「お前のことが好きだ」って早く言ってしまえば良かった。
今、目の前にいるはもう他のやつのもので。
…もしかしたら、これが最後のチャンスなのかもしれない。
ここで想いをぶつけてしまえば、何か変わるかもしれない。
その言葉がきっかけで、が俺のことを意識する、とか。
「幼馴染み」の関係をぶっ壊してしまおうか。
当たり前のように好きな女の側にいられる、この関係を。
目の前のは今まで見たことないような幸せそうな満面の笑み。
この笑顔を曇らせるのか、壊すのか。
悔やむべきは、想いを告げる勇気がなかった自分。
叱咤すべきは、「幼馴染み」というぬるま湯を手放せない自分。
好きだ。
心の奥にその言葉を沈めて、実際にかけてやった言葉は。
「…良かったな。お前なんかもらってくれるやつ、そうそういねぇぞ。」
「もう!清ちゃんはすぐそういうこと言うんだから!」
幸せになれ。
俺はずっとお前の「幼馴染み」でいるから。