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黒子のバスケ*Short Stories2

第25章 「おやすみ」と「おはよう」*青峰*


そのまま私もすぐに眠りにつき、気付けば朝日の光がカーテンから射し込んでいた。

身体を起こして時計を見ると、もう9時近くになっている。

「…結構寝ちゃった。」

隣を覗き込むと、昨日眠りにつく前と同じ顔でまだまだ彼は夢の中。

昨日と同じように唇を盗むと、今度は口元が悪そうな笑みを作り出した。

ヤバい!と思って、身体を一瞬引き離したけれど手遅れだった。

「朝から随分積極的だな、おい。」

肩を掴まれ引き寄せられて、大輝の顔が近すぎて吐息すら感じられる距離だった。

「違うって!あの……」

「寝込み襲うつもりだった、とか?うわ、やらしー。」

「ちがっ…」

唇を塞がれて、言葉を続けられなかった。

私は朝御飯じゃないのに、と言いたくなるような食べられてしまいそうな繰り返されるキス。

そのまままた抱き寄せられて、大輝は私の頭に顎を乗せる。

「私抱き枕じゃないんだけど!」

大輝の胸を手でぐっと押しても、やはり力では敵わない。

しかも今回は大輝の顎が頭を押さえつけているから、顔を動かせない。

「…お前抱き締めてると、なんつーか…落ち着くんだよ。」

一瞬聞き間違いかと思った。

私が顔を動かせないことをいいことに、こっそり溢した本音だろう。

自信満々な王様気質の彼だから、人に甘えたり頼ったりすることは滅多にないんだけど。

だからたまにこうして甘えてくるのは何だか可愛い、と思うけど、言うと怒られそうだから口にはしない。

「大輝。」

名前を呼ぶと、乗せていた顎を離し私に目線を合わせてくれた。

「…何だよ。」

「言うの忘れてた。おはよう!」

「…おはよ。」

同じ布団の中で、一日の一番最後に「おやすみ」と言える。

同じ布団の中で、一日の一番先に「おはよう」と言える。

これは私だけの特権で、すごく幸せなことだって思ってる。

「もう起きよ?朝ごはん作るから。」

「…わーったよ。」

愛しい旦那様のために、私は今日も一日頑張ります。
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