第23章 好きで、好きで、好きで*黄瀬*
授業中っちに見とれていた代償は大きく、何とか課題を終わらせて急いで体育館に向かった。
ちょうど休憩の時間だったらしく、っちが朝に干していたタオルを取り込んでいるところだった。
声をかけようとしたら、っちのところに笠松先輩がやってきた。
…今行ったらまたシバかれるっスね。
踵を返して、校舎の中の方の入り口へ向かおうとした時、話し声が耳に入った。
「、黄瀬どれくらいで来るって言ってた?」
「うーん…。すぐ終わらせて行くっス!とは言ってましたけど…。」
「全くアイツは…。あのさ、ちょっと気になってたんだけど…お前いつもアイツがべったりくっついてくるの嫌だったりしねぇの?」
笠松先輩のその疑問が俺の身体を凍りつかせた。
そう言えばそんなこと考えたことなかった。
っちは優しいから、嫌だと思っててもはっきり言えないだけかもしれない。
…っちなんて言うんだろう……。
「…人前でされると困ることはありますけど、嫌だとは思わないですね。そうしてくれることで、逆に安心します。」
「安心?あー…、モデルさんはモテるもんな。」
「涼太はそこまで考えてないと思いますけど、目に見える愛情表現をしてくれているから他の子を牽制出来ている気がするんです。」
「…アイツには本当勿体ないわ、お前。」
「そんなことないですよ。…やっぱり涼太を好きですから、誰にも獲られたくないんです。」
初めて聞いた他の人に言うっちの俺への気持ち。
俺には勿体ないくらいの言葉で、気持ちがじわじわと込み上げてきた。
「っち!…大好きっス!」
気付けばっちを抱き締めていて、目から涙が溢れていた。
「涼太!?…何で泣いてるの!?」
「っちがそこまで想ってくれて嬉しいんス!」
もう少しっちの温もりを堪能したかったけど、笠松先輩から後ろから蹴りを入れられた。
「黄瀬ぇ!お前遅刻してきて先輩に挨拶もなしか、コラァ!」