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黒子のバスケ*Short Stories2

第22章 秋のピクニック*木吉*


「うわぁ!…すごーい……。」

目的地に到着すると、そこには暖色の世界が広がっていた。

風には落ち葉が舞い、秋を彩る花々が咲き誇っていた。

広い芝生では家族連れや恋人、友達グループなどが同じようにお弁当を広げたり、遊んだりしていた。

レジャーシートを広げ、二人で準備したお弁当を並べて、湯気が立つお茶をコップに注ぎ、鉄平に手渡した。

「あー……温かいお茶が美味い季節だな。」

鉄平はお茶を啜りながら、緩みきった表情を浮かべて、すっかり和んでいる。

「…じじくさいなぁ。たまに鉄平が本当に高校生かわからなくなる。」

「そうなのか!?俺は高校生だぞ、!」

「冗談だって!わかってるよ、もう!」

秋風が心地良くて、陽射しも暖かな今日。

二人で用意したお弁当は、いつものお昼ご飯の何倍も美味しくて。

草花の匂いや新鮮な空気が、より開放的な気持ちにさせる。

「煮物美味いなぁ。」

「うん。さすがおばあちゃん。」

確かに美味しいんだけど、私が作ったやつじゃないから少しだけ複雑な気分。

「だけど、の唐揚げも負けないくらい美味いなぁ。」

突然の一言に、いとも簡単にときめかされてしまった。

ボケてるふりして、鉄平は本当にしたたかだ。

「、顔赤いぞ?熱でもあるのか?」

炊き込みご飯のおにぎり片手に鉄平が私の顔を覗き込んできた。

「なっ…ないよ!」

ドキドキしたから、なんて悔しいから言わない。

そ知らぬ顔で鮭のおにぎりにかぶりつこう、とした。

「…鉄平、やっぱりおにぎり大きいって……。」

おにぎりがちょうど私の手のひらくらいのサイズはある。

「そうか?じゃあ、半分こしよう。そうしたら、ちゃんと2種類食べられるだろ?」

鉄平がおにぎりをがばっと縦に割り、片割れを私に渡した。

同じものを二人で分けて食べるのも、何だかくすぐったくて嬉しくて。

いつもよりも、やっぱり美味しいご飯の時間。
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