第22章 秋のピクニック*木吉*
美味しいご飯も食べ終わって、食後の一服と言わんばかりにお茶を飲む。
「あー…、腹一杯になったら眠たくなってきたな。」
その言葉が聞こえてきたのと同時に、自分の腿に重みを感じた。
「ちょっ……!鉄平!?」
「いいだろ?ちょっとだけ貸してくれ。」
私の答えを聞かずに、鉄平は私の膝枕を使いながら瞼を落とした。
いつも甘えてばかりだし、たまには甘えてもらおうかな。
寝付きがいいのか、すぐに寝息が聞こえてきた。
頭を撫でると、意外にふわふわした髪が指を通る。
妙に落ち着いていて少し大人びた表情も、目を閉じるとやっぱりあどけない。
顔の距離がいつもより近いから、ここぞとばかりに観察する。
ふと、唇に目がいった。
…そういえば私からキスしたことないかも。
と、いうか背伸びしても届かないから出来ないんだけど。
周りを見渡してみても、少し離れたところにしか人はいない。
眠っている鉄平の唇に触れて、ゆっくり体を前へ倒して唇を重ねた。
キスをする時条件反射で目を閉じてしまうので、唇を離した時にそっと目を開く。
すると一瞬鉄平の口角が上がったように見えた。