第22章 秋のピクニック*木吉*
まだ昼間は暖かいし、のんびりしたいということで、今日のデートはピクニック。
電車で行ける広い自然公園に行ってみることにした。
目的地に向かう時、鉄平は何も言わずに重い方の荷物を持ってくれていた。
「鉄平、ありがとうね。」
「何がだ?よく分からんが…のそうやってきちんとお礼が言えるところ、いいと思うぞ。」
無意識な優しさに思わず頬が緩んでしまう。
鉄平の穏やかで優しい笑顔を見上げると、心がぽかぽか暖かくなってくる。
大きな手に私の手がすっぽり包まれて、学校にいる時よりも距離が近くなる。
部活で忙しい私たちには、ゆっくりデートをする時間はとても貴重。
「公園に行く」だけなのに、向かう足取りは軽く心がうきうき弾む。
二人でどこかへ出掛けるってやっぱり特別で幸せなことなんだ。