第21章 旦那様は王様です*青峰*
美味しそうに鍋がぐつぐつと煮えていて、二人で食卓を囲む。
寄せ鍋は楽チンだし、いっぱい食べる大輝にはうってつけ。
「、豆腐鍋に入ってる分だけか?」
先に言っておきますが、大輝が無類の豆腐好きということではありません。
「はい、こっちが大輝の分。」
私は小皿に取り分けた豆腐を大輝に手渡した。
実は大輝は猫舌で、あっつあつに煮えた豆腐はあんまり好きじゃないらしい。
かなり前に一度言われたことだったけれど、もちろんちゃんと覚えてました、
「…サンキュ。」
少し口許を緩めてくれているのを見ると、嬉しいって思ってくれたんだなってわかる。
「。」
声に反応して箸を止め、大輝の方へ視線を移した。
「何?」
「俺、お前と結婚して良かったわ。」
我が家の王様はごくたまーに、私がよく出来た時に、こんな嬉しすぎる言葉をくれる。
だからこそ、どんな我が儘や気紛れも許せてしまって、また叶えてあげたくなってしまう。
「私じゃないと大輝と一緒に生活できないよ、きっと。」
誇らしげに胸を張る私に、大輝はくしゃっとさせたような笑顔でまた頭を軽く小突く。
「調子乗ってんじゃねぇぞ、おい。これくらい出来て当然だっつーの。」
青峰家家訓その五。
「俺の好みは把握しろ」