第21章 旦那様は王様です*青峰*
自分の爪も可愛くなって、ガールズトークを楽しんでいると、いつの間にやら夕暮れ時。
寝室の方から物音がして、足音がこちらに向かってきた。
リビングの扉が開き、スウェット姿の大輝が欠伸をしながら現れた。
「ふわぁー…よく寝た。…さつき、また来てたのかよ。」
寝起きで少し不機嫌な大輝は、眉を寄せてさつきを見た。
でもさすがの幼馴染みは、そんな大輝の様子を全く気にせずけろりとしている。
「大ちゃんが寝てばっかいるから、独り占めしちゃった!…じゃあ私そろそろ帰るね!あとは、お二人でごゆっくりー。」
さつきを玄関までお見送りして、王様が待つリビングへと戻った。
「あー…やっと触れる。」
大輝は私の腰に腕を回し、ぐっと自分の方へと引き寄せた。
同じ柔軟剤を使っているはずなのに、大輝の匂いは少しだけ違っていて。
その香りに思わず安らいでしまう。
「…ゆっくり眠れた?」
「ん?あぁ。…腹減った。」
「じゃあちょっと早いけどご飯にしよっか。」
「やっぱ風呂。」
どっちよ!?
でも、こんな気紛れもすっかり慣れてしまいました。
お風呂も時間合わせてお湯入れておきました!
「お風呂出来てるよ?私ご飯の支度しておくから入っておいでよ。」
「あ?お前も一緒に入るに決まってんだろ。」
「でも…ご飯……。」
「そんなの後で二人でやればいいだろ。来いよ。」
半ば強引に腕を引っ張られ、浴室まで連行される。
気紛れな行動の意味を都合が良いように解釈する。
…私と片時も離れたくないって思ってくれているのかな?
「二人でやる」ってさりげなく言ってくれた小さな優しさに、思わずはにかんでしまった。
青峰家家訓その三。
「俺の気分に合わせろ」