第19章 浮いて沈んで、また浮いて*日向*
扉を開けると、やっぱり順平。
「おかえりなさい。」
私の家なのに、突然の訪問なのに。
自然と口から出た言葉に、彼も目を細めて口許を緩めた。
「ただいま。…今日悪かったな。」
優しく腕を回して私を抱き寄せた彼は、そう言って頭にぽんぽん、と軽く触れた。
「ううん!私こそごめんね。勝手に拗ねて…。」
「別にいーよ。もう慣れた。」
慣れてしまうほど振り回してしまうのに、それでも一緒にいてくれる彼は本当に優しい。
リビングで腰かける彼に温かいコーヒーを入れて持っていく。
隣同士に並んで座って、彼に少し寄りかかって温もりを感じた。
「ん。」
コーヒーを飲みながら、彼が可愛らしく包装された箱を私に渡してきた。
「これ…プレゼント?」
「今日で3年だろ。」
照れくさいのか、頬杖をついて目を合わせてくれない。
少しだけそっぽ向いていても、顔の赤らみは隠しきれていない。
「うん…。あっ!私もあるんだ!」
私もクローゼットに隠してあったあの贈り物を彼に手渡すことが出来た。
時計を見ると0時8分前。
「間に合った…。順平順平、これ開けていい?」
「おー。俺も開けるぞ、これ。」