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黒子のバスケ*Short Stories2

第19章 浮いて沈んで、また浮いて*日向*


箱を開けると、そこにはパステルカラーの花やストーンが飾られているプリザーブドフラワー。

「可愛い…。ありがとう。ところで、順平これ一人で買いに行ったの?」

「…そうだよ。悪いか。」

花屋さんに一人で入って、きっと店員さんに相談してプリザーブドフラワーにしたんだろうな。

だってこんなおしゃれなもの、順平が知ってるはず無い。

想像してたら何かすごく面白くて、堪えきれず吹き出してしまった。

「ぶふっ…!」

「笑うな!ダアホ!」

頭をはたかれたけど、手加減してくれてるから全然痛くない。

私からのプレゼントは、スーツにお決まりのネクタイ。

「おー!ネクタイ使うし助かるわ。サンキュ。」

「自分じゃちょっと良いやつ中々買わないもんね。」

コーヒーを啜りながら、しみじみ思った。

「私たちも大人になったね。ネクタイがプレゼントの選択肢に入るくらいだもん。」

「会った時はお前もまだ若かったのにな。女子高生がいまや…。」

「年取って申し訳ございませーん。順平だってオッサンじゃん。」

「ダアホ!同い年だろうが!」

こんな些細なやり取りは、とても心地いい。

笑い転げる私に痺れを切らし、彼は私の腕を引き寄せて笑い声が溢れる唇を彼のそれで塞いだ。

唇が離れるとどちらともなく身体に腕を回して、私たちは顔を見合わせて綻ばせた。

すると彼に身体を横抱きにされ、ベッドの上に沈められた。

これから始まる甘い予感に、私の胸は高鳴った。

上げたり落としたり、私の気持ちをこれだけ動かせるのもあなただけ。

いつもきゅんとする、とかそんな気持ちはさすがにもうないけれど。

時折見せる不器用な優しさや不意打ちの行動にドキドキさせられる。

私を上から見下ろす彼に、始まる前に伝えたい言葉がある。

「順平。」

「あ?」

「いつもありがとう。…好きだよ。」

「俺も…好きだ。」

素直な気持ちを忘れずに。
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