第19章 浮いて沈んで、また浮いて*日向*
お風呂から出ると、携帯がチカチカとサインを出していた。
順平からの着信だ。
慌ててかけ直すと、携帯を触っていたのかすぐに彼の声が聞こえてきた。
「もしもし、?寝てたか?」
彼の声はいつもと変わらず。それが私をほっとさせた。
「ううん。ごめん、お風呂入ってた。お仕事終わったの?」
「あぁ、さっき終わった。今帰り。」
時計を確認すると、23時になろうとしていた。
「お疲れ様。今日ちょっと寒いから温かくして寝てね。」
「…じゃあお前に温めてもらうわ。また後でな。」
最後の彼の言葉の意味に少し違和感を感じながらも、電話を切った。
髪を乾かしブラシでといていると、玄関から呼び出し音が鳴った。
こんな時間で、尚且つオートロックを突破できる鍵を持っていて、チャイムを鳴らすのは彼しかいない。
憂鬱だった気持ちはどこへやら、私は玄関へと走った。