• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories2

第17章 小さなきっかけ、大きな始まり*灰崎*


「おら、さっさとやるぞ。」

その鋭い目で一目見られただけで、突き刺されるような感覚に陥る。

うぅ。恐い。殺される。

でもやらなきゃ終わらないし、元バスケ部レギュラーなら絶対バスケ上手いし…。

腹を決めた。

「灰崎くん、よろしくお願いします。私、です。」

けじめをつけるため、頭をきちんと下げ、名前を名乗ってみた。

きっと同じクラスであっても目立たない私のこと知らないはず。

「名前くらい知ってるっつーの。…ほら、そっからドリブルしてシュート決めてみろ。」

意外な事実に驚きつつ、指示された通りにボールを手から地面へと打ち付け、ゴールの近くでボールをゴールへ向けて放った。

「あーあ。全然だめだな、お前。マジしょぼいわ。」

…仰る通りでございます。

だけどもうちょっと言い方とかないの!?

と、言うことは恐ろしくて出来ません。

黙って項垂れていると、彼が口を開いた。

「ボール貸せ。見てろ。」

恐る恐る手渡すと、まるで手とボールに引力が働いているかのようなドリブルでゴールへ向かい、そのまま軽くボールを放った。

当然のようにボールはゴールへと吸い込まれた。

素人目でもわかる鮮やかなプレイに思わず見とれてしまった。

「おい。お前ちゃんと見てたか?…もしかして見とれてたんじゃねーの?」

「すごいね…。本当に見とれちゃった。」

自然と口から溢れた言葉に私も少し驚いた。

「はぁっ!?…マジかよ。」

彼は少し馬鹿にしたような笑みを浮かべていたが、ほんの少しだけ顔が赤くなっていたような気がした。

そこからは何もなかったかのように練習を始めた。




/ 323ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp