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黒子のバスケ*Short Stories2

第17章 小さなきっかけ、大きな始まり*灰崎*


昨日、球技大会の種目決めがHRに行われた。

女子の種目はバスケとドッジボールだったが、バスケのあと1人がどうしても決まらなかった。

結果くじ引きをして、私は貧乏くじを引いてしまった。

バスケの経験もないし、元々運動はあまり得意じゃない。

そこでHRの後廊下にて、くじ引きなんて言った担任に猛抗議した。

「先生!私バスケなんか体育でしかやったことないし…運動あんまり出来ないし無理です!」

「まぁまぁ、。決まっちゃったものは仕方ないだろ?頑張れよ!」

「だーかーらー!」

何度も何度もこのやり取りを重ね、ついに先生が折れた。

「じゃあ、あと1週間コーチをつけて練習したらどうだ?」

「先生やってくれないんですか?」

「俺はさすがに無理だが…おっ!灰崎ちょっとこっちの来い。」

「あー?」

偶然教室に入ろうとした彼を先生が捕まえた。

「何スか?早くしろって。」

「お前、にバスケ教えてやれ。」

担任の思いもよらない提案に、私は呆然と立ち尽くしていた。

当然、彼は担任に猛反発した。

「はぁっ!?何でそんなことしないといけねーんだよ!?」

「お前バスケうまいじゃないか。」

あっけらかんとした表情の担任は、彼の威圧に全く動じていない。

「めんどくせぇ。俺だって急がしいんだよ。…くだらねぇ。」

踵を返し、私たちに背を向けて教室に戻ろうとした彼に、担任は聞こえるように言葉を溢した。

「困ってるクラスメイト助けるって推薦書にあげられるんじゃないか?」

確かに。勉強苦手そうだし、推薦で高校狙うなら推薦理由は一つでも多い方がいいはず。

特に素行がよろしくない彼にとっては尚更のこと。

いやいやいや、でも他の方法もあるでしょ。

「…わーったよ。やればいいんだろ、やれば。」

嘘でしょ!

私が言葉を発する暇もなく、1週間のバスケ特訓が決定されていた。
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