第16章 Addicted to you*氷室*
今日はついに辰也の誕生日。
結局プレゼントに選んだのは、シルバーで文字盤が黒の腕時計。
ずっと身に付けてもらえるものが良くて、悩んで悩んでやっと決めた。
一緒にお祝いしようね、と約束して、今日だけはこっそり男子寮へと忍び込んだ。
敦くんに隠してもらいながら、特待生専用の棟へと入った。
無事に辰也の部屋にたどり着き、一息着く。
「…ドキドキした。見つかったらどうしようって…。」
「は心配性だな。こっちの棟は人も限られているし大丈夫だよ。…飲み物持ってくるからちょっと待ってて。」
そう言って辰也は部屋を出ていった。
実は初めて入った辰也の部屋。
あまり物も多くなくて、白や黒のモノトーンがベースのシンプルな雰囲気。
バスケの雑誌やビリヤードのキューが辰也の好みを感じさせる。
すると、机の上の写真立てが目に入った。
中折りのタイプで2枚の写真を収められるタイプの写真立てには、アメリカにいた時のタイガくん?とアレックスさんと写った写真。
そして、もう1枚は私と写った写真だった。
わざわざ飾るということは、それほど大切な思い出だったということ。
「辰也の誕生日なのに…私が泣きそう。」
「に泣かれたら誕生日を楽しめなくなっちゃうよ。」