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黒子のバスケ*Short Stories2

第16章 Addicted to you*氷室*


「、お待たせ。帰ろうか。」

練習後部室の前で辰也を待って、一緒に寮へと帰る。

この時期の秋田は夜になると気温がぐっと下がり、冷たい風が身体に刺す。

「はー…すっかり寒くなってきたね。」

ジャケットの下に着込んだセーターの袖をめいいっぱい伸ばして手を隠す。

「そうだな…。こうしたらもっと温かいんじゃない?」

すると辰也は私の手をとり、上着のポケットの中に自分の手と一緒に収めた。

ポケットの中で指が絡み合い、その部分だけ妙に熱く感じた。

「こういうこと、さらっとやってのけちゃうんだから。」

しかも様になってしまうから、ドキドキさせられて何か悔しい。

「変かな?まぁ、だからしてあげたくなるんだけどね。」

ふふ、と不思議に惹き付けられる笑みを浮かべる辰也につい見とれていると、そっと唇を奪われた。

「…やられた。」

「人聞きが悪いなぁ。…もうすぐ寮だよ。」

気付けば左に行けばもう寮に着く曲がり角。

いつも誰かに会うのが気恥ずかしくて、私が先に部屋に向かい、辰也がそれを見送ってくれる。

「それじゃまた明日ね。」

辰也の手から指をほどき、手を軽く振る。

「じゃあね。ゆっくり休んで。」

私の輪郭に手を添えて、辰也は優しく頬にキスを落とした。

もう慣れてしまったけれど、挨拶だというそのキスでさえ辰也の優しさを感じる。

大事にされているし、好きでいてくれているんだな。

改めてそんな当たり前のことを感じ、誕生日の準備に熱を入れた。



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