第16章 Addicted to you*氷室*
気付けば辰也がテーブルの上に二つのマグカップを置いていた。
するとそこから距離を縮め、私を後ろから抱き寄せた。
「I´m addicted to you...が愛しくて堪らないんだ。」
後ろから聞こえる愛の言葉に、胸がぎゅっと熱くなり目眩がしそうになった。
ちらり、と振り返り辰也の顔を覗くと、体を反転させられまた抱き締められた。
一瞬だけ見えた表情はどこか切なげで、いつもの穏やかな表情とは何だか違っていた。
腕に込められた力は辰也の想いの強さの表れではないか、と錯覚してしまった。
しばらくその温もりを感じてから、テーブルへと戻り用意していたケーキを取り出して飾り付けた。
ろうそくの火を吹き消す辰也は、何だか照れくさそうでまた違う一面を見られた気がした。
「辰也、お誕生日おめでとう!Happy Birthday! ...え、と…I love you with all my heart.」
用意しておいたプレゼントを渡すと、辰也はすぐに箱を開けて、腕時計を嬉しそうに付けてくれた。
ケーキを食べて辰也が用意してくれたコーヒーを飲んでいると、辰也はまたあの惹き付けられる笑みを浮かべた。
「わざわざ英語を練習してきてくれたのは嬉しいけど…ちゃんとの慣れた言葉の方で聞きたいな。さっきの、どういう意味なの?」
「…意地悪。」
「反応が可愛くてからかいたくなるんだよ。ね、聞かせて?」
辰也はたまに意地悪で、私をからかうことをする。
それでも、辰也からのお願いには弱くてついつい要望を叶えてあげてしまう。
「心からあなたを愛してる。」