第3章 あなたに見惚れて 次男
「なかなか綺麗なブルーじゃないか、このカクテル」
『でしょ。カラ松、青色好きでしょ?気に入ってくれるかなー、と思ったんだけど』
「ふっ‥‥女の好意を無礙(むげ)にするほど、俺も腐っちゃいないさ。気に入った」
そう言ってカクテルを飲む俺を、やつはじっと見つめている。
「何をそんなに見つめているんだ。俺に見惚れていると、火傷するぜ?」
そんな台詞じみた言葉をを吐きながらウインクする俺にこいつは
『わかんないの?あの時からずっと、カラ松に見惚れてるんだよ?』
なんてとんでもない言葉をぶつけてきた。
「ふっ‥‥昔から演技のうまい女だったが変わらんな」
『演技なんかじゃないよ、ずっとずっと、カラ松だけを見てたんだよ?見惚れてる、じゃなくて惚れてるの』
真剣な眼差しから、演技なんてものじゃなくてこの言葉がこいつの本心なんだと伝わってくる。確かに昔よりさらに綺麗になっているし、いい女だ、とは思うが‥‥‥‥
『さっきのね、エンジェルズキッス。あのカクテルの言葉は【あなたに見惚れて】‥‥マルガリータだって、【恋人】って意味もあるんだよ?』
少し潤んだ瞳で想いを伝えようと必死だ。
『高校のとき、カラ松はファン多くて、だから演劇部に入ってちょっとでも近づきたかった。恋人役ができて、すごく嬉しくて、だから__「それ以上言うな」
彼女を制止した俺はこう告げた。
「女に全部言わせるのは、男として最低だな‥‥‥‥俺の【マルガリータ】はお前しか似合わないさ」
涙を零しながらそれでも微笑んだ彼女は
『かっこつけてるところも、優しいところも、全部‥‥全部大好き』
そう言って抱きついてきた。
「かっこつけ、優しい‥‥‥‥か。褒め言葉だバーン」
そう言って俺はまた、かっこつけた。
【マルガリータのカクテル言葉 恋人】
【エンジェルズ・キッスのカクテル言葉 あなたに見惚れて】
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ここまで読んでくださった方の中で、きっとこう仰りたい方もいると思います。
「褒め言葉だバーン」‥‥‥‥だと
‥‥みたいな。
もっと他にあったろ‥‥みたいな((
何百回でも土下座します(
でも主的にこれが一番しっくりきたんですはい(((