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おそまつなにちじょう

第5章 贈り物 三男



僕が指さしたのは『キール』というカクテル。悪いとこをしてる黒い服のお兄さんの一味にいる名前だ。何気なく指さしたカクテルだから変な意味だと空気悪くなるかな、なんて考えたのは聞いた後だった。
「このカクテルは【最高のめぐり逢い】という意味があるんですよ」

グッジョブ僕!いいの選んだじゃん僕!
【じゃあ、今日にぴったりなカクテルですね。貴方みたいな美人にカクテルを作ってもらえるんだから】
この言葉をいうことが出来れば‥‥‥‥なんて、
「言えるわけないじゃん」
ぽつり、呟いた言葉は拾われることなく店内のBGMに混ざっていった。

『お客さんには、このカクテルがいいと思います』
そういって差し出してきたのはウィスキーサワー。
「これも何か意味が?」
『はい。ウィスキーサワーは堅実という意味があります』
「何故僕が【堅実】なんですか?」
『この仕事を始めてから結構長いんです。その内お客さんの性格とかもお酒の飲み方でなんとなくだけど判るようになったんです。』
彼女はエトレーヌを一口飲んで続けた。

『お客さんはゆっくり1口ずつ、美味しいって言わんばかりに飲んで下さるんです。言葉にしなくても態度で表す事が出来るのは堅実な証拠ですよ』
そういって彼女は柔らかく微笑んだ。
「それは嬉しいです‥‥‥‥あとでキールも飲んでみようかな」
『気になりますか?』
「気になる、というか」

___今日貴方と最高の巡り逢いをしたからですかね___
恥ずかしながらもそう言うと、彼女は顔を少し赤らめて
『わ、私も貴方からエトレーヌいただけて、嬉しかったです』

‥‥思い切ってよかった。そう思えた夜であった。

【エトレーヌのカクテル言葉 贈り物】
【キールのカクテル言葉 最高の巡り逢い】
【ウィスキーサワーのカクテル言葉 堅実】

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