• テキストサイズ

世界はパラレル【HQ・ヒロアカ短編】

第12章 君の名を(爆豪勝己)




ブーーーッ、と堪えきれなかった何人かが吹き出した。

……あ。そっか、携帯じゃなくて爆豪くんの"個性"が暴発したのか。

プラスチックの焦げた臭いと、床に散らばる欠片。




うん、これはいよいよ殺されるかもしれない。


「えっと、まだちょっと信じられないんだけど、君の名前は、さん……で合ってるのかな?」

瞼の裏に流れ始めた走馬灯に思いを馳せていた私に、ミドリヤくんが若干ビクつきながらも助け舟を出す。視線は相変わらず泳いだままだけれど。


「さっきの発言は間違いなくかっちゃんだった。でも女の子の声……?になってたってことは、身体が乗っ取られた訳ではなく、かっちゃんとさんの精神が入れ替わってるって事だよね。……これはさんの"個性"によるものなの?」

「ち、違うんです!私の"個性"は他人の視界を覗くくらいの事しかできなくて……こんなの初めてなんです!」

「"個性"の発動条件の様なものはありまして?」

遠慮がちに、でも核心をつくような質問はシャンプーのCMに出てたヤオロヨズちゃん。今はそんなこと言ってる場合じゃないってのはわかってる。……でもね、サイン欲しい!!

「すみません、わからないです……戻る時間もいつもまちまちで……」

その時何かが乗り移ったかのように、ミドリヤ君が俯いてブツブツと呟き始めた。

「特殊な条件?体調や精神面の問題?もしかすると入れ替わる対象との相性、それかかっちゃんの方にも何か条件があったのかもしれない……第三者の介入?……可能性はあるけれど、トリガーがさんの個性であるのは間違いなさそうだし……いや待てよ、そもそも前提条件がおかしいのか」


結論に辿り着いたミドリヤくんにみんなの視線が集まる。

遠慮がちに、しかし自信有りげにはっきりと。彼は一つの仮説を口にした。

「今までは使いこなせていなかっただけで、これが本来のキミの"個性"だとしたら?」





私の、個性……?



「え、ちょっと待って!だって中学のときの個性診断でも、そんなこと言われなかったし、それに今までは……」


混乱する頭の中でもうっすらと気づき始める。その仮説が正しいとすれば全てが腑に落ちる。

/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp