第12章 君の名を(爆豪勝己)
「なんか、すごい夢だったな……」
さっきまで鮮明に見えていたはずなのに、思い出そうとすればするほど、記憶はぼんやりと薄れてゆく。
「ああああ、夢でもやっぱりサイン欲しかっ…ヒッ!?」
机の上に開かれたノート。
これは紛れもない現実のハズ。なのに。
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!コロス!
ふざけんなテメエ!ぶ っ コ ロ ス!
黒のボールペンで書き殴られた文字からは怖いくらいの筆圧を感じた。
突如流れる着信音は、私の好きな歌。ちょっと前まで放送してたドラマの主題歌。
画面には見知らぬ9ケタの番号。
震える手で、緑色の着信ボタンをタップする。
なんだかそうしなきゃいけない気がした。
「ッ!!!!!テメェの名前も!住所も覚えたかんなァ!!!!!」
叫ぶのは日本で一番有名な高校生。
そう。君の名を、私は知っている。
-end-