第12章 君の名を(爆豪勝己)
鏡を見るため部屋から飛び出したけれど、そこはホテルの廊下みたいでビックリした。え、爆豪くん家、超でかいやんと思ったけど……そっか、この前の不祥事で全寮制になったんだっけ。
「バクゴーちっす」
ヤバい、洗面所に辿り着くまでもなくいきなり話しかけられた。
恐る恐る振り返ると金髪の男の子がそこに立っていた。
「ち、ちーっす…え、何これ声低ッ……ちーす!カ、カミナリ!」
自分の喉から捻り出した声が、あまりにも低く掠れていてビックリした。
固まる金髪くん。ヤバい名前間違ってたか……?
「お、おい爆豪……」
ガシッと肩を掴まれる。近い近い顔近い!!あ、ちょっとイケメンかも。
「オマエ、頭大丈夫か?」
「はい?」
そのまま肩を組まれ1階の談話室っぽいところに連れて行かれた。というか、拉致?連行?
カミナリくんは電話で誰かと話してる。
「もしもし切島?ヤベェぞ!爆豪がヤベェ!マジヤベェ!……オウ……オウ、だから!!マジで!!爆豪がヤベェから全員呼んで談話室来いってマジ!」
ヤベェ、爆豪、マジの3つの単語だけで会話ができるって、さすが雄英だなって思いました、まる。
そんな小学生並の感想を心の中で述べていたら、テレビで見た雄英生たちがぞろぞろと集まってきた。
そして私を見ては口を開けたまま固まったり、訝しげに首を傾げたり、ヒィと短い悲鳴を上げたり様々な反応を見せてくれた。