第9章 恋とはどんなものかしら(ファットガム)
BMIヒーロー ファットガムは仕事の合間に携帯の画面を眺める。
開いているのは自身がSNSにあげたお好み焼きの写真。ふっくらと焼き上がった豚玉にソースとマヨネーズがたっぷりと掛けられ、その上で花がつおが踊っていた。
写真に寄せられた6000ちょっとの"イイネ"の中にあの子もいるんやろか。
、……。
あの日貰った手紙は今もデスクの引き出しにしまってある。(自分でも女々しいって事ぐらいわかっとるわ)
『嬢ちゃん、かんにんな!』
『100%(ヒャクパー)には足りひんけど、まぁこんなもんやろ』
脳内であの日、カッコつけた己の姿が再生される。
連絡先ぐらい聞いとけ、俺のドアホーー!!
自己嫌悪で倒れ込む様に机にガツンと頭を打ち付けると、事務所に掃除機を掛けていたオバちゃんに怒られた。
「なんや今の音?ビックリするやん!老い先短いんやからあんま驚かせんといて!!」
「ヘイヘイそりゃどーも、すまへんでしたー」
生返事で机に突っ伏しながらスマートフォンに打ち込む文字。
"ファットさんのクリスマスの予定、今ならまだ空いてるで!"
どうにかしてあの子と連絡を取りたい。そう思って軽はずみで投稿した呟き。