第9章 恋とはどんなものかしら(ファットガム)
「なあ、嬢ちゃんって年いくつ?」
「19です。東京で製菓の専門学校に通ってます」
「未成年なん!?しかも9つも違うんか……あー、お兄さんショックやわ。あ、たこ焼きも一つ食べてもええんやで」
「…お、お兄さんは28…歳?えっと、若く見えますね……たこ焼き、美味しいです。いただきます」
「せやかて、なんでファットさん探してるん?」
あくまで自然を装って探りを入れる。
「私、2ヶ月前にも友達に会いに大阪に来たんです。でもその時も変な勧誘に捕まってしまって。そこで助けて頂いたのがファットさんだったんですが、私お礼を言えなかったのがずっと気掛かりで」
あ、なんや見たことある顔やとおもたら。
「……そういう事かー」
「え?」
「あ、イヤイヤ、こっちの話や」
突如、道頓堀川の向こうのビルから響く爆発音。続いて白煙が立ち昇る。
相変わらず騒がしい街やなぁ、ココは。
「嬢ちゃん、かんにんな!」
嬢ちゃんの食べ掛けと、残りの18人前のたこ焼きをペロリと胃に流し込む。
訓練された俺の身体は、すぐさまたこ焼きを戦いの為の脂肪へと変換して行く。ポッケから取り出したマスクを着け、パーカーのフードを深く被る。
「100%(ヒャクパー)には足りひんけど、まぁこんなもんやろ」
BMIヒーロー ファットガムは、騒乱の中心へ駆けて行った。