第9章 恋とはどんなものかしら(ファットガム)
「ずいぶんたくさん食べるんですね……まるでファットさんみたい」
「ファッ、!?」
いつもの癖で、野口8人と引き換えに頼んでしもた20人前のたこ焼き……。
「ま、まぁいつもはそうなんやけど、なんや今日は腹の調子が悪いねん、ハハハハ」
アカン!ここでウケねろーたら確実に恋愛対象として見てもらえんやん!!
探してる間に食う→徐々に太る→実は俺がファットさんでした!てゆう完璧なオチになるハズやったのに!!
ファットさんだって男やもん!!たまにはカッコつけさせてぇや!!!
「冷めたら美味しくなくなるさかい、嬢ちゃん食うてくれ!お兄さんのおごりや!」
「……いいんですか?」
嬢ちゃんはパーっと嬉しそうな顔をする。やっぱ大阪の粉もん、特にここのたこ焼きは最強やな。
戎橋(えびすばし)の手すりに寄り掛かって、出来立てのたこ焼きをはふはふしながら食べる嬢ちゃん。
「おいひぃ、です」
「うんうん、せやろ?」
美味しそうに食べる女の子はやっぱり可愛いわーって少し見惚れる。
コレって他からしたらデートしとるみたいに見えるんかな。