第5章 ダイエット(木兎)※
ダイエット開始から約2週間。
本人の努力もあって成果は少しずつ現れていた。
体重は3kg減。
しかし……
「そろそろガス抜きさせた方がいいんじゃないの?」
ポツリと無表情の赤葦が私に向かって言う。彼が気に掛けるのは言わずもがな、もちろん大エース木兎光太郎の事だった。
休憩終了の笛の音が響き、赤葦がコートに戻っていく。コーチの指示でスパイカーとブロッカーに分かれ、ネットを挟んだスパイク練習が始まる。
「ブロック遅せえぞッ!もう一本!」
体育館に響くのはバレー部主将の勇ましい声。
「だから遅せえって!もう一本!」
「ちゃんと腕閉めろ!もう一本!」
「くっそ赤葦ッ!トス打ち辛えぞ!もう一本!」
もう一本!もう一本!もう一本!
もう いっ ぽォーン!……
甘い物禁止令から約二週間。木兎さんは荒れていた。