第2章 宿題(黒尾)※
「……そういう自信たっぷりな所が嫌だ」
「相変わらずカワイくねーな。じゃどんな気分なんだ?」
音もなく静かに、下着をずらして指が一本侵入してきた。
「何…や、だっ、黒尾」
「嫌々その変態に犯される気分はよォ」
掻き混ぜるように動く黒尾の指。
いつもシャーペンに添えられてた、あの長い指が私のナカにある。
「あっ、ああ…んっ、やっ…あぁ」
自分のじゃないみたいな声に驚いて、私は自分の手で口を塞ぐ。
すると今度はぐちゅぐちゅと厭らしい音が聞こえてきてもっと恥ずかしくなって目を瞑る。
声を我慢すると身体から湧き出るむず痒い衝動から、どう逃げていいのかわからない。
「…んっ、…っ…ん」
痛くも悲しくもないのに、涙がぽろりと零れた。
「声我慢して泣くとか、可愛過ぎるだろ」
薄っすら開いた瞳で見つめると、黒尾も恍惚とした顔をしていた。
「なァ、って呼んでいいか?」
半ば無理矢理こんな事しておいて、名前で呼ぶのにいちいち確認を取る黒尾は馬鹿みたいで、でも愛おしかった。
私は途切れ途切れになりながら、好きにすればと答える。
「、っ、好きだ」
キモチイイなんて次元とうに通り過ぎていて、私はただ意識が飛ばないように、黒尾にしがみついていた。
「…そろそろイキたいか?」
そう言って指の動きを速めながら、反対の手で優しく私の頭を撫でる。
イクとかよくわからないけど、限界はもうとっくに超えていて、何でもいいから助けて欲しかった。
涙をぽろぽろ零しながら、私は無我夢中で頷いた。
「……っああっあ、っ」
ビクン腰が浮き、足がピンと伸び硬直する。
今まで高まっていた気持ちがぷつんと切れ、あとは緩やかに崩れていくようだった。
ぐったりと動けなくなった私を黒尾が椅子に座らせてくれた。
頭のどこか片隅に追いやられていた理性がだんだん戻ってきて、私は学校で何やってるんだろうとぼんやりと思った。
その間、自分のエナメルバッグをガサゴソと探っていた奴が何かを取り出してきて、私に見せた。
……存在は知っていた、けど、見るのは初めて。
「な、な、なんでこんなの持ち歩いてるの、この変態。近寄るな!」
「ハァ?健全な男子高校生ならゴムくらいみんな持ってるんですー」
私は椅子から立ち上がり、部屋の隅に逃げた。