第2章 宿題(黒尾)※
「俺はバレーで全国に行く。だから彼女は作らねえって決めてた」
「…はあ?じゃあの日の女の子は?」
「付き合えねえけどセックスならするぜって言ったらそれでも良いって言うから」
そんな欲望を包み隠さず言わないでしょ普通。
そして女の子もいいんだそれで。
今時の高校生の理性は獣並みなのかと思った。
「…っ最低。黒尾なんか死ねばいいのに」
「いいじゃねーか、来る者拒まず去る者追わずだぜ」
呆れた。なんでこんな奴、好きになってしまったのだろうか。
「去った私に罠仕掛けて捕まえてるのに」
「それはお前に惚れたから」
「…頭、おかしいんじゃないの?」
黒尾は嬉しそうに目を細め、私のおでこにキスをする。
「オマエのそーいう口悪いとこもひねくれたとこも自尊心めちゃめちゃ高いとこも、俺だけが知ってる。その癖して意外と純粋なとこもエロい泣き顔も、なんかさァ、もう誰にも見せたくねえんだ」
私の頬を濡らした涙を丁寧に舐め取り、瞼に優しくキスを落とす。
「俺、気持ち悪くね?」
「自覚あるんだ。そしてさり気なく貶し過ぎ」
悪態をつくといきなりのキスで口を塞がれる。溺れそうなくらい深い口付け。呼吸の合間に何度も私を呼んで好きとか愛してるとか、黒尾らしくない言葉を囁く。
その姿はなんだかとても苦しそうで、やっと私と黒尾の好き、が同じなんだと理解した。
その事が嬉しくて、もういっそ身体を委ねてしまおうかとも思った瞬間。
腰に回されていた黒尾の手が後ろからスカートの中に滑り込む。
「何っ、すんの…変態!ひゃっ」
下着の上から敏感な場所をグリグリと刺激される。
黒尾の手から逃げ出そうと藻掻くと、首すじを甘噛みされて身体がビクンと跳ねる。
「にヒドい言葉を言われるとすっげえゾクゾクすんだけど…俺ソッチに目覚めたのかも」
「キモいし、ぜっ、たい、違っ…んっ、やぁ」
爪で指の腹で、引っ掻いて、擦って私の反応を楽しむ様に動かす。
何か言い返してやりたいのに、五感全てに襲ってくる快感のせいで頭がぼやける。
「んっ…、やだ、っあぁ」
「ホントは嫌じゃねえんだろ?」
指の動きを緩めて奴はニヤニヤと笑った。
無理矢理掴まれていたはずの手は、お互いの指を絡ませ合って。
黒尾を拒んで押し返してたはずの手は、奴のシャツを握り締めていた。