第1章 1.ゆらり×ゆらり×出会い
試験が始まって受験生が走り出した。
初めは大人しく走っていたサクラだったが、途中で頭の上に乗せていた子猫を抱き下ろし、足元に下ろした。
他の受験者達は迷惑そうによけて走っていく。
「よろしくね雷さん」
子猫はにゃー、と一声鳴くと大きな姿になった。
四つ脚付いたままでも大人の男と同じ高さ程もあり、真っ黒な毛並みはツヤツヤと光っている。まるで虎をふた周り大きくしたようだ。
サクラはヒョイと雷の上に乗る。
周りの受験者達は顔をひきつらせなから二歩も三歩も離れて走る。
「ああ~っ!!サクラ!おまえもかぁっ!!」
さぁ走り出すぞ、という瞬間に叫び声が響く。
レオリオが指を指しながら騒いでいた。
その近くにはゴン、クラピカ、そしてなぜかキルアまで一緒にいた。
「ってかそいつでっかくなってねぇ?」
レオリオはスーツ姿の為か、すでに汗だくだ。
「雷さんは魔獣さんですけん」
「当たり前だにゃー」
思いの外低い声で雷が喋る。