第1章 1.ゆらり×ゆらり×出会い
少女が幼さを残す薄い唇を開く。
「お名前はなんて言うとですか?」
途端に、先程の異様な気配は消えて人なつっこい雰囲気だけが残る。
先程の少年が進み出る。
「オレはゴン!こっちがレオリオであっちがクラピカ!」
こっちあっちと指し示しながら紹介していく。
「君は?」
「サクラちいいます。よろしくお願いするとです」
サクラはそれぞれ握手をしていく。
ダウジングストーンが胸で揺れていた。
クラピカだけは怪訝な表情でサクラを見つめているが、レオリオとゴンは子猫と戯れていた。
そこへ中年男が近づいて来る。ゴン、レオリオ、クラピカの三人がそちらに意識を向けたその一瞬でサクラは姿を消した。
「卑怯なおじさんは好かんと」
ひとりごちながら人混みに溶けていった。