第1章 1.ゆらり×ゆらり×出会い
ぺこりと頭を下げる少女にヒソカはブルリと身を震わせる。
顔には変態的な愉悦の笑みが浮かんでいる。
「ボクは奇術師。ヒソカって呼んでくれるかな?」
「わかったとです。よろしくお願いするとです」
ヒソカの表情に気づいているのかいないか、サクラと名乗った少女は100点の笑顔でヒソカに握手を求める。
そして手を離すと再び元居たパイプまで登り、子猫と遊びだした
次は99番
12歳の少年が入ってきた。
スタンっと飛び降りたサクラは子猫を抱えたまま少年に近寄る。
「──…」
「?」
何か言おうとして口を開いたサクラは胸元のダウジングストーンを見て今度は無言で顔を覗き込んだだけでそのまま去っていった。
他にも数名に声を掛けたり顔を覗き込んだりしてそのほとんどをパイプの上で過ごした。
そして締め切り時間ぎりぎりになったところでエレベーター付近に降りてきた。
まるで次に降りてくる人物を待つかのように。