第1章 1.ゆらり×ゆらり×出会い
レオリオの去った後には彼の鞄がひとつ。
ポツンと残った鞄は彼の覚悟と、何かを吹っ切った証。
サクラは万感の思いを込めて先に進む。
「優しくて温くて強か人…周りを包み込む大きか人。彼…レオリオが、そうなの?」
「それは僕にもわからないにゃ」
サクラの呟きに雷が静かに答える。
先を行くクラピカとレオリオを見つめながら2人は進む。
その後ろではゴンとキルアが親睦を深めていた。
お互いの釣り竿とスケートボードを貸し借りする約束をしている。
ゴンの手にはレオリオのカバン。
それに目を留めたサクラはクスリと微笑む。
ゴンの優しさと行動力、身に纏う雰囲気。
それは刺々しかったキルアを柔らかく包んでいる。
次第に幼い3人はレオリオとクラピカを抜いて先頭を走り始める。
「いつの間にか一番前に来ちゃったね」
後ろを気にしながらゴンが呟く。
左にいるキルアは事も無げにペースが遅いとつまらなさそうに返す。
「こんなんじゃ逆に疲れちゃうよなー」
汗ひとつかいていないキルアを見てサクラとゴンは驚く。
雷にのって走っているサクラとは違い、野山を駆け回っていたゴンでさえ薄く汗をかいている。