【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。
第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。

「はっ?得意な料理がない…だと?」
「す、すみません…」
ポトフを食べ終えた四宮先輩は手馴れた様子でさっと食器を洗い始める。私も急いで口に入れてお腹がいっぱいになった所で、洗い終えた食器をタオルで優しく拭いて行った。
「だから…どれだけ努力しても、全く結果が出せないし残せていないのか…」
「うっ、はい…全くもってその通りです」
隣にいる彼に図星を突かれ、言い返せす言葉も出せずしゅんとする私に呆れるようにため息をついた四宮先輩は洗い終えた食器を私に渡した。
「先ずは、得意料理から探さねぇとな…例えば、どういった料理なら好きだとか、嫌いだとか。そういうのもないのか?」
「好き嫌い…ですか?」
「野菜や肉、魚でもあるだろう…例えば。そこで自分は魚料理が本当は得意で好きなのに、肉や野菜を強くススメられたとしても。成績が上がる訳ねぇわな…」
「た、確かに…」
四宮先輩の言う通りだ。野菜料理が好きで得意な彼に肉や魚だけのメインを作れというのは…やはりそれは違う気がする。けれど四宮先輩ならやすやすとやってのけそうな想像も出来た。そんな時四宮先輩も「まあ、俺なら肉や魚だけのメインを作れと言われても…簡単に作れるがな」と言って見えたので、内心ちょっとイラッとしたのは内緒だ。
綺麗に拭いた真っ白な食器を調理棚に置いて片付けて行く。空っぽになったダンボールは四宮先輩が持って行くと言っていた為素直に「ありがとうございます」とお礼をいう。
「そろそろ授業も終わる頃だな、ヒナコも心配しているだろうし…寄り道せずにさっさと帰れよ」
「はい、そうします。あの…四宮先輩、今日から宜しくお願いします」
「あぁ、先ずは…得意料理から探すとして、ヒナコにも相談して見ろ。日本料理ならアイツが一番適しているだろうし、水原冬美。お前も知っているだろう…遠月十傑の二席の水原は、イタリア料理に適しているから…気になる事があるなら、俺が呼んで来てやる」
ダンボールを折り畳む四宮先輩を見る。どうしてここまでしてくれるのだろう。四宮先輩にとって私ってなに?一方的なセックスでプライドなんて思い切りへし折った私は憎い相手なんかじゃないの?苦手だからもう私に話し掛ける事もないと思っていたのに、なぜ?どうして?という疑問だけが募って行く。
「四宮先輩の気持ちが…私には分かりません」
