【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。
第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。

「味は至って普通だな…」
「不味くはないですけど…」
「美味しくもないね…」
上から順番に四宮先輩、日向子、そしてイタリア料理に特化している水原冬美先輩が呟くようにいっていた。唸りながらに絞り出した声は言葉を選んでいるように思えた。
「やっぱり…駄目ですか」
「違います!百合子ちゃんの手料理は美味しいですよ!」
「日向子ちゃん…無理に言わなくてもいいよ?」
ぐぬぬ!と悶えながら私の料理をフォローしようと頑張る日向子に苦笑いを浮かべながら水原先輩に聞いて見た。
「なにがいけなかったのでしょうか」
「先ず日本料理ではなさそうね、普通といえば聞こえはいいけれど…これいって個性の味が出ていない。ピンと来ないわね」
「そ、そうですか…」
彼女の辛辣な言葉を聞きガックリと肩を下げれば、四宮先輩はゆっくりした動作でまた箸を持ち口付けた。余り美味しいと言えない料理を無言で口の中に放り込んで行く。戸惑う私にチラリと視線を向けた四宮先輩は相変わらずの無愛想でいった。
「この料理に罪はねぇからな。まぁ、作り手に問題はあるが…」
「なっ!四宮先輩!もう少し言い方ってモノがあるでしょう!折角ちょっとだけ見直したと思ったのに!」
日向子は左右の手をブンブンと上下に揺らし、プクッと両頬を膨らませて可愛らしくプンプン怒って見えた。水原先輩も呆れたようなため息をつく。私はチラリと四宮先輩を見つめればパチリと目がかち合った。けれど直ぐに私から視線をそらし、照れたように日向子へ怒鳴った四宮先輩はそのまま恥ずかしそうに目を伏せ、わざとらしく咳き込むと椅子から立ち上がった。
「おい、のろま…お前日本料理苦手だろう」
「えっ…」
「単調過ぎる。火加減は強い…煮物が煮崩れしやすくなる。魚も外はパリ、中はしっかり火を通せ。味はまぁいいが…見た目も美しくなければ食欲もそそらないからな」
「は、はぁ…」
曖昧な返事を返す私に、四宮先輩は強く睨んで来た。その表情からするに…お前、真面目に聞いてんのか?という凄みのある視線を感じた。案の定舌打ちした四宮先輩は私に掴み掛る勢いで迫って来た為、驚きながら直ぐに誤解をいう。
「すみません、なんというか…普通に教えて下さるんですね」
「テメェ…喧嘩売ってんのか」
「いいえ、そういう訳では…ありがとうございます」
私がお礼すれば真っ赤にした彼がいた。
