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【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。

第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。


私が変な愚痴をいったからだろう。四宮先輩は押し黙ってしまい、真っ直ぐな真剣な眼差しで私をじっと見つめ続けて来た。そんなにじっと見ないでよ…同情とも言えない、良く分からない視線に嫌いな自分をこれ以上晒け出して、見透かされてしまいそうで四宮先輩がなぜか怖く感じた。

「変な愚痴をいってすみませんでした。これからはそんな粗相は致しませんので…」
「俺が、お前の料理を…指導してやってもいいぞ」
「えっ…あの、今なんて?」
「凡人でのろまなお前より天才の俺が指導をして、それでも変わらないというのであれば…俺はお前を容赦なく切り捨てる。遠月十傑、一席のこの俺が直々に教えてやるんだ…ありがたいと思えよ」

ふんっ…と鼻で笑い見下す四宮先輩に、一瞬言っている意味が分からず頭の中を整理する。つまり四宮先輩が直々に、私の料理を指導してくれてそれでも結果が出なければ切り捨てられると?と考えた時にはカシャンとナイフが手から滑り落ちていた。

「いっ…いいんですか?」
「俺も暇じゃない、だがサポートとして徹しているのろまのお前を今退学させるのは少々勿体ないと思っただけだ。しかしだ。そこいらにいる奴らと目指すものが一緒になられると俺のプライドが許さねぇ…一席の俺が教えるんだ、ずっと高みを目指せよ?」

態度もでかいし、性格もでかい。ニヤリと不適切な笑みで私を見る四宮先輩に身体が震えた。でもこれ程今恵まれている人間は、この遠月茶寮料理學園でも私しかいないだろうと素直に思えた。視界が緩み、もう枯れてしまったと思った涙が溢れる、口元を抑えて立ち上がるとゆっくり頭を下げた。

「あっ…ありがとう、ございますっ…」

辞めたくない、退学したくない。頑張って来たんだ。意地でも残りたいと必死になってなにが悪い。苦手な四宮先輩が真面目に話しを聞いてくれて柄にもなく私に手を差し伸べてくれたのだ。きっとこれを断ったら私は必ず後悔する。絶対に卒業したい、自分の為に…教えてくれる四宮先輩の為にも。

「こ、これから…宜しくお願いしますっ!」

涙をぐっと堪えて、嗚咽を我慢し大声で目の前にいる四宮先輩にまた頭を下げた。四宮先輩は戸惑いながらも「あぁー…絶対弱音吐くんじゃねえぞ、死んでも俺に着いて来い」と気さくに言ってくれた。

「はい、頑張ります…!」
「で、先ずお前の得意料理は?」
「うっ…それは」
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