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ノーゲームノーライフ

第4章 『 』との出合い


「……いや、別にその事を言ってるんじゃないんだけどな。」
そう意味深に呟き、空は再び酒場の中を覗き込む。
そして白が空に話しかける。
「……負け込むの、当然。」
「ああ、全く同感だわ。氷麗はどう思う?」
空が聞いてきたので俺は答えた。
「俺も二人と同じだよ。視野を広げて見れば気づけるはずなんだけどね。」
俺がそう言うと空は全くだ、と言いながら四角の機械を取りだし、酒場の中に向け、操作をしていると、パシャッと音がなる。
ーと、中年の男性がニヤリと笑い言ってくる。
「で、兄ちゃん?他人の勝負を気にしてる場合なのかい?」
と言ってスッと札をオープンする男。
「フルハウスだ。悪いな。」
勝利を確信し、その先の目当てのものを思い、下卑た笑みを浮かべる男。
が、空は最初から興味がなかったかのように、たった今思い出したかのように応じる。
「え?あー、うん、すまん、そうだったな。」
そう言って無造作に札をオープンした空に中年の男が目を見開く。
「ロイヤルストレートフラッシュだぁーっ!?」

最強の手札をおくびに出すこともなく揃えた空に、男が立ち上がり吠える。
「て、てめぇ‼イカサマじゃねえか‼」
「えー、おいおい失敬だな。……何を根拠にイカサマだと?」
へらへらと、椅子を引いて立ち上がる空になおも追いすがる男。
「ロイヤルストレートフラッシュなんて、65万分の1の確率、そうそう出てたまるかっ‼」
「いやいや、今日がたまたまその65万回目の辺りの日だったんだろ?運が悪かったね。おっさん。」
飄々と言い放って手を差し出す空。
「じゃあ約束通りに"賭けた"もの、頂こうか?」
「ーーくそっ。」
舌打ちをして男が財布、そして巾着を差し出す。
「『十の盟約』その六、盟約に誓った賭けは絶対遵守される。ーはい、ごっそさん。」
「……ありがと……おじさん。」
「すいませんね、でも賭けは賭け、乗る方も悪いからね。まぁおじさんにいいことが起こるように祈ってるよ。」
言って悠々と椅子を立つ空と、ペコリと頭を下げて空を追う少女。
その後に続く俺。
酒場に入っていく俺達を見送る髭の男に、友人らしき人物が近づく。
「よぉ、一部始終見てたがなに手持ち全部かけてんだよ。お前。」
「あぁ……生活費どうしたもんかねぇ。」
「てか、生活費までかけて…向こうは一体何を賭けてたんだ?」
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