第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
しかし当の本人は、いつも通りというかやはりというか…全くもって気にしていない。
というか全然分かっていない。
『ちゅ、中也さん今の!!』
「あ?あー…ちゃんと食わないとお前、ただでさえ細いんだし心配になるんだよ。だから無理にでもちゃんと食わせようと思ってだな?」
そこじゃない!
この場でただ一人分かってないの、貴方だけですからね中也さん!
『そ!そうですか!ちゃんと食べなきゃだな〜うん!!ご馳走様でしたあああ!!』
残りのご飯を一気にかきこんで、即座に朝食の席から退出した。
「蝶!?……どうしたんだ?こんな朝からあんなに騒いで、珍しいな」
「いやあ!珍しいとかじゃあないんだよ…すっかり、身も心も乙女だねぇ、やはり可愛いなあ蝶ちゃんは」
中原は、遂に口を開いた森に目を向ける。
「乙女……まあ確かに、あいつは俺が見込んだやつですし、容姿もいいし…正直言う事なしなんですよね」
中原の一言に周囲はフリーズ。
「あとほら、何かすっげえ見てて癒されますし…って、何だ手前らそんな目で見て」
「いやはや、もう付き合ってしまえばいいのになと思いまして…きっとここにいる全員がそう思っているかと」
今度は殺せんせーが一歩踏み込んで意見した。
「だから付き合うも何も、あいつは俺に懐いてるだけだって何回言えば分かんだよ!?……それになあ、俺は蝶が行方不明になった原因の輩を始末しなくちゃならねえんだ。殺せんせー…あんた、何か知ってっか?」
中原の周りでただならぬ緊張感が漂う。
「私が…ですか?すみませんが、白石さんとはつい先日、出会ったばかりで」
「…そうか、変なこと聞いて悪かったよ!ご馳走様。蝶探しに行ってくるわ」
ヒラヒラと手を振って中原も退席した。
その後ろ姿を不思議そうに見つめる生徒達。
そして先程中原から送られていただならぬ殺気に身震いし、冷や汗を流して彼を見送る超生物。
森はその様子を観察しながら、超生物・殺せんせーのことを細かく、注意深く見つめていた。