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第9章 天からの贈り物


『聞いてほしい話…?』

「うん、僕が初めて君を見かけた時の話」

トウェインさんの言うその私は、所謂零の事だろう。
耳を傾けて静かに続きを待つと、トウェインさんはカメラを片付けながら話を続けた。

「僕がまだまだ本当に小さかった頃の話なんだけどさ。僕は冒険する事が大好きで、わくわくするものを見つけるとすぐにはしゃいじゃうような子供だったんだ」

まあ今もあんまり変わりないけど、と笑うトウェインさんに私も笑い返す。
小さな頃のトウェインさん…なんだか物凄く想像がつく。

「それである時、異能力が使えるようになってね?親が持ってた狙撃銃を使って、小さな冒険をして、外をたくさん見て回って、時には悪者退治みたいなのもしてたんだ」

『!悪者?』

「そうそう。まあこそ泥とかひったくりとか指名手配犯を見つけたらとかだったんだけどね」

ゴム製の玉でもかなりの威力になるから、警察に突き出すにはもってこいな異能の使い道があったらしい。
好奇心旺盛で、元気で勇敢な男の子…そんな印象が強かった。
私の知らないトウェインさんの子供時代。

「で、いつものように自分の興味の湧いたところに足を進めていくと…ちょっと危ないところに入り込んじゃった事があったんだ」

『危ないところって…』

「うん、裏社会の取引現場みたいなところだった。流石に僕も怖くなって、引き返して逃げようとしたんだけどさ?呆気なく捕まっちゃって、実弾の入った銃を額に当てられて、震えが止まらなくなった」

トウェインさんの口から語られたものは、一般人ならば本当に足を踏み入れてはならないところのものだった。

日本では、ポートマフィアは甘くないにしろ、裏の人達にも慈悲の心があることが多い。
言い方を変えれば単に甘いだけなのだけれど、それが海外にもなれば、本当にその場で殺されてしまう。

小さな子供にも情けはかけない。
日本のような平和な世界の方が珍しいくらいなのだから。

『そ、それ……でも今、生きてる…よね?怪我した痕跡も見当たらないし』

私が声を発したところで、トウェインさんの声が明るくなった。

「そう!そんな絶体絶命!って状態だったところでね?僕の額に当てられてた銃が、突然目の前から消えちゃったんだよ!」

『消えた…?』

「うん!僕も相手もびっくりしてたんだけど、そしたら今度は上から誰かに発砲されたんだよね」
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