第9章 天からの贈り物
翌日
最早ここに来て恒例となってしまった、おそらく今回が最後になるであろう…__
「ほらー、顔下に向けない!」
「あんたの目がいやらしいから嫌がってるんじゃない?」
「ルーシーちゃんまでそんな扱い!?」
「トウェインが撮るから嫌なんじゃないかな」
「ジョン君まで!!?」
____写真撮影という名の地獄の時間。
『……まだ?ね、まだ?もういいよね、もう十分撮ったよね?』
そろそろ怒っていいですかと拳を構えると、面白いくらいに慌て始めるトウェインさん。
ていうか本当に撮りすぎ、いつもの数倍は撮られてる今日。
「でも今日でもしかしたらお別れかもしれないんだよ!?」
『どうせ私、自分の能力使えばいつでも会いに行けますし』
「そーいうこと言わないの!!ていうか今日折角“それ”着てるんだからいいじゃんか!結局蝶ちゃん、勿体ぶって今日まで着てくれなかったんだから!」
そうか、なんで今日はいつにも増してしつこいのかと思えば…
今日早朝に無理矢理起こされて、まだ寝ぼけているうちに着せられた、真っ白なウェディングドレス。
だけならまだしも、本当に用意周到な事に、ベールにイヤリング、ネックレス、レース調の手袋などが全て見事に着せられていたのだ。
いや、着たかったのは着たかったから、嫌だとかいうわけじゃないのだけれど…
『ドレスはいい……でもトウェインさんのその必死さがやだ』
この台詞はどこかで聞いたことがあるような気がするのだけれど、それはまあ気のせいということにしておこう。
「ほら言われてる。気持ち悪いってさ」
「というかそろそろ地上に降りる用意しておいた方がいいよ。お別れ言っとくんなら早くしておこうよ、気持ち悪いトウェイン」
「本当に君達辛辣だね!?今日いつにも増して酷くない!!?」
いつにも増して気持ち悪いからね、とルーシーさんとジョンさんの声が重なった。
苦笑いを浮かべると、ルーシーさんとジョンさんからじゃあね、また会えたらよろしく、と声をかけられる。
『はい、まあ私の方から無理矢理にでも会いに行きますけどね!』
照れくさいけれど笑ってみせれば、二人共手を振って部屋から出て行ってしまう。
トウェインさんともそろそろお別れかな、と思って少しだけ寂しい気持ちが影を見せる。
そんな時だった。
「…蝶ちゃん、聞いてほしい話があるんだ」