第9章 天からの贈り物
「でも蝶ちゃんの話聞いてたらやっぱり思うよ、彼絶対綺麗な子が好みなんだって」
『す、好きなタイプに当てはまるんなら嬉しいですけど…』
「うーん…だってほら、考えてもみて?中原君、人前で綺麗って言うことないでしょ?」
トウェインさんの一言にハッとした。
確かに、言われてみれば第三者のいるところで綺麗だなんて、言われたことなかった。
さっきだって周りに聞こえないくらいの声だったし…ていうか寝る寸前に寝ぼけて呟いたって感じだったし。
人前で可愛いって言って照れさせてくるようなことはあったけれど、綺麗だって言われるようなことなかったはず。
「ほら、本当に一番自分の中で感動してるところはさ、人に取られたくないから言わないんだよ」
「あの人その変すっごい貫き通してそう。ていうかやっぱすごいわ、綺麗とか女の子に向かって普通中々言えないもん」
「それはあれじゃない?だってこの子、子供ってわけじゃないんだろう?本人の中でただの子供扱いをしてるわけじゃないんなら、彼はこの子の言う通りかなり大人な面あるだろうから…そういう面じゃあ、この子のことを対等に見てるんじゃない?」
『!!子供扱いじゃ、ない…?』
中也さんの事を考える上でいつもコンプレックスに感じていたのが、まず第一にこの見た目だ。
これのせいで余計にただの子供にしか見られないし、普通の大人の人からしてみればやっぱり私はまだまだ大人じゃない部分が多いらしいし。
私に子供からゆっくり成長していけばいいって言った中也さんが、一番子供扱いをしていない?
「うん、子供扱いしてたら綺麗なんて言えないし言わないよ普通。さっき対等に見てるんじゃないかって言ったけど、もしかしたらもっと、ずっとずっと上の存在として見てしまってる部分もあるのかもね」
『分かんなくなってきた…え、何?要するに中也さんて私のこと大好き?いやうん、知ってたけどそんなに?うん』
「「そういうとこが可愛らしいよね」」
『い、意味分かんない…』
二人の発言はおいておいて、しかしここで、ようやく少し確信がもてた。
やっぱり綺麗っていうのは、多分あの人の中では可愛いなんてものよりも断然上なんだろう。
そしてこれもさっきようやく分かったこと。
分からなければ、聞いてみればいい。
そしたら中也さんは、きっと全部答えてくれるから。
直接聞けば、いい。