第9章 天からの贈り物
ジョンさんが大人びたと言ってくれたのは、まあ私が単なる子供というわけではないからそう思われるのだろう。
だって私、生きてきた年月が子供じゃないもの。
だけど人と一緒に成長していったわけでもない。
だから子供にもなりきれないで大人にもなりきれなくて、中途半端で変で歪な存在になっちゃってる……ああ、でも今は子供でいいんだっけ。
中也さんと一緒に大人になっていこうって決めたんだった。
『…………ていうか中也さんが大人だから私がこんなに悩んでるんじゃない。なんなのあの人、まだたったの二十二よね?なんであんな大人なのよ、心広すぎ、馬鹿、頭おかしい、私バカ、かっこいい』
「ディスるかデレるかどっちかにしなよ」
「ていうかたったの二十二って、君こそまだ十四歳だろう?」
ジョンさんの言葉にピタリと口が止まった。
『蝶は確かに十四だけど…でも私、組合の誰よりもずっとずっと歳上ですよ?トウェインさん、後で説明よろしく。私自分でこの話あんまりしたくないから』
「え、君が歳上……歳上?…ああ、そう考えてみればまあその大人びた雰囲気も納得だ。でも、まだまだやっぱり子供らしいなと思わせられるところもあるよねやっぱり」
そのせいで余計に可愛らしいというか、可愛がりたくなっちゃうっていうか…トウェイン、後で話聞かせてねとジョンさんは続けてくれて、あまり深入りしようとはしてこなかった。
なんていい人なんだ、気遣いというか女の子の扱いというか、この心配りが素晴らしい。
私の周りのデリカシーに欠けすぎている男性諸君にもっと見習っていただきたい。
『余計に…?』
「うん、なんていうの?日本で言うギャップってやつ?」
「え、ジョン君そんなの知ってんの」
ギャップだなんて考えたことなかった。
「ほら、普段可愛い子が時折大人っぽくなって迫ってきたらドキッてなるでしょ?」
その言葉に、私の方がドキッとする。
中也さんは私が言ってほしいって言ったから可愛いという言葉を使うようになった。
それはよくわかってるし、本人が本当に思った時に言ってくれてるということもわかってる。
だけどそれなら、今日も言われた、あの“綺麗”という言葉は何なのだろう。
『……ねえ、男の人の言う可愛いと綺麗の違いって、何?』
「可愛いと、綺麗…?」
「なんでまたいきなりそんな……」