第9章 天からの贈り物
『ほらー、動かさないー』
「いやいやいや、骨の形無理やり整えてんだから普通に痛ッッ…!!!」
『中で複雑骨折になってるんですから我慢ですよ我慢。手術はしたくないんでしょう?』
医務室の中で構成員さんたちの怪我の手当をして回って、最後はジョンさんだけとなった。
彼は特に骨折が酷くて、とりあえず普通にいても楽にいられるようにと折れた骨を無理やり壁で形を整えて固定しているのだ。
私は自分にならよくやるからここまでもう痛がりはしないのだけれど、やはり普通の痛さではないらしい。
「そ、そりゃあ作戦があるか……ら、〜〜〜〜っっっ!!!!」
『はい終了ー』
「…き、君……こんな痛いのをよくもまあそんな笑顔で……っ」
『……じゃあこれやめて手術します?』
ニコリと問うと苦い顔で遠慮しておくよと断られた。
『全く…でも今、もう動かしても全然平気でしょう?まだ流石に骨が折れてるから、蹴ったり飛んだりするのは痛いでしょうけど』
構成員さん達の処置をした道具を片付けながら言うとジョンさんはゆっくりと立ち上がってみせて、本当だと一言。
詳しい内容は企業秘密にしてあるけれど、効果が実感出来たらしく、ありがとうとお礼を述べられた。
「ところでそれはまた、偉く血が出ているようだけれど」
『あはは、銃弾全部、そのまま跳ね返されちゃってますからね…中也さんに物理攻撃は効きませんよ。はっきり言って銃なんて飛び道具なんか使えば、逆に跳ね返されてこっちが即死です』
処理しているのは跳ね返されて色んな人の身体に撃たれた銃弾。
こうなるなら銃は使わない方がいいとだけでも言っておけばよかったかもしれない。
幸い死者は出ていなかったけれど、やっぱり私が関連して頭に血が上っていたのだろうか。
中也さんの重圧による攻撃も相まって、非常に容赦のない攻撃であったらしい。
「うっわあ、弱点とかあるのかい?それ」
『無いことはないと思いますけど…でも本人の体術自体が相当なものなので、例え異能力が使えなくとも負ける事なんて普通無いですよ、中也さんは』
「ふぅん……あ、でも弱点あるね、彼」
ジョンさんの唐突な発言につい私も気になって、なんですか?と顔を向ける。
するとクイ、と引っ張られて、ジョンさんの顔が目の前に。
『……っっ!!?な、っ…!?』
「ははっ、かーわい…彼は君には勝てないよ」