第9章 天からの贈り物
「チッ、うっせえ……大人しくしてねえと、あいつの本音が聞けなかっただろが」
「蝶ちゃんの感情が高まってなかったら中也くらいの演技、簡単に見破られてただろうけどね?で、本当に理由はそれだけかい」
「…………あれで仕返しなんてしようもんなら、マジで理性切れてただろうと思ってな」
「普段から我慢してるからそうなるんだよ、とっとと本番いっちゃえばいいのにさ。どう考えても両想いじゃないか、君達二人共」
話をするのがこいつだというのは気に食わないが、俺の寝たふりが分かっていてあれだけの事を蝶から聞き出したんだろう。
本当、腹黒いというか味方であったら悔しいけど頼もしいというか。
「俺はお前と違って大事にしてえ主義だからな。なんといっても相手が蝶なら、んな事簡単に出来っこねえよ」
「ふぅん……で?蝶ちゃんのあの嫉妬心と独占欲、君はどう思っているんだい」
太宰の言葉に一瞬、言葉に詰まった。
まさか蝶の奴があれほどまでに俺の事を想っているとは思わなかったし、そんな事だけで殺意を沸かせてしまうような奴だと、本人の言っていたように全然悟らせてなんかくれていなかった。
「どうって……____マジで、かなりそそられた」
「君、本当に蝶ちゃん相手なら何でもありだね。元より中也は女性にそういった事で縛られるのは嫌いだろう?」
「相手が蝶なら話は別だ。つかあいつは寧ろ我慢して俺にそこまでの事を言ってこねえし…さっきはマジで理性持ってかれそうになった」
人より力が強くて体が丈夫で、こんな殺しの世界に身を置いているような人間だ。
俺自身、同じように思う事など日々あるために、蝶が吐き出したあの気持ちは痛いくらいに分かるものなのだ。
だからこそ、自分と同じように…狂おしい程に想われているという事が、たまらなく嬉しかった。
今ここですぐにでもめちゃくちゃにしてやりたくなる程に、俺の理性をぐらつかせていきやがった。
「私や、それこそ中也くらいにもなると、あれくらい想われてても何も怖くなんてないのに…健気な子だ」
「俺はどうやら相当好かれちまったらしいからな。あいつに関して言えば、本当に物凄い量の想いだろうよ…健気だな、俺でもそう思う」
「本当に可愛らしい子だ」
「馬鹿、らしいじゃなくて可愛んだよ」
「犯したくなるくらいに?」
「犯したくなるくら……って、手前!!?」