第9章 天からの贈り物
『ううん…でも中也さんに全部伝えるって、どこからどこまで言っていいのやら。流石に女の人から話しかけられないでだなんて無理な話だろうし、仕事とかじゃなくても中也さんかっこいいし、中也さんかっこいいし……』
「うん、君がこの男の事が大好きだってことはよく分かった」
『大好きかぁ……うん、大好き。何回も前の前世から何回も後の来世まで、その世その世でも全てを通じた世の中でも、一番大好きだよ』
ジョンさんがどこまで私のことを知っているのかは知らないけれど、たとえ私の身体がこんなものでなくとも、同じ事を思っていた可能性はある。
まあその場合は、私はこの人と逢えるこの世界に存在することなく転生し続けていたのだろうけれど…それでも私が条件付きとはいえ色んな世界を行き来出来る限りは、有り得る話だ。
何せ、私もこの人も、出会えた事はたまたまの必然で、これは運命か何かのようなものな気がしてならないのだから。
「そうだね、そんな事を言われてみたいものだ…まあでも、言ってみれば嫉妬しやすくて独占欲が強いという事だろう?」
『……中也さんが私以外の人のになるとか有り得ない話なんだもの』
「おや、えらくいい方向に前向きに変わったみたいだね蝶ちゃん?以前までなら嫌われたらどうしようとか、それこそ自分を殺してしまうくらいにまで思いつめていたような子だったのに」
目をパチクリさせる太宰さんにジョンさんの方が驚いた。
対する私はキョトンとしてから、ああ…と口を開く。
『私が頼み込んでもそうはならないらしいですから…まあそう考えれば確かに、言っちゃっても大丈夫なのかなぁ。独占欲がおかしいくらいに強いんだとか、私以外に興味持っちゃったりされるだけでも殺意が湧いてくるとか』
「うんうん、蝶ちゃんが言ったら本気でやっちゃいそうな気になっちゃうけど、それでいいと思うよ……てかこいつ蝶ちゃんに何言ったんだか」
『軽くプロポーズ紛いのことばかり言われてますから。中也さんにその気は多分ないんでしょうけど…今度約束破ろうとなんてしたら、それこそもっと思いっきりひっぱたいちゃうかもですね』
苦笑して微笑むと、もっと思いっきりやっちゃっていいよ!と煽られた。
『だけど本当、中也さんが私以外の人の事見るのだけでも嫌だなぁ…いつも隠すの必死だもん、この人の隣に誰かいるだけで、気が狂いそうになる』