第9章 天からの贈り物
私の言葉にピシッと固まる中也さん。
太宰さんはニヤリと何やら楽しそうな顔をしていて、ジョンさんは話がよく分かっていない様子。
「ん?…まあ、大怪我してまで助けてもらった挙句、抱きしめすらもせずに怒られてビンタされて、逆ギレするだなんてスマートじゃあないよね」
「ぐっ!!?」
「も~、キレかかるまでならまだしも、蝶ちゃんに向かって“手前”はないよねぇ〜?第一女の子に向かって使う言葉じゃないし、相手はこの蝶ちゃんなのに」
太宰さんの言葉に言い返しも出来ないで顔を青くし、プルプルと震える目の前の彼。
私を抱きしめる手まで強ばっている。
『で?私の事散々言ってくれてたくせして手前って言っちゃったんだ?あーあ、中也さんの一番って大したことな…きゃ、ッッ!?』
嫌味っぽく呆れたように言ってみれば、言い終わる前に突然中也さんにグイッと腕を引っ張られ、中也さんの膝の上で仰向けにされる。
そして何故だか中也さんは私に覆い被さるように顔を近づけていて、腕も掴まれたままで動かせないし…って、
『……ふえ!!?ち、ちょっと中也さん!!!?』
さっきまで私の方が弄ってたはずなのに、突然こんな体勢で近くに来られるだなんて。
予想外にも程がありすぎて一気に顔に熱が集中する。
私が情けなくも小さく声を漏らし続けながら恥ずかしがっていると中也さんがおでこをくっつけてきて、更に恥ずかしくなって目を瞑った。
「俺の一番がどんくらいのもんか、教えてやろうか?今ここで、すぐにでもめちゃくちゃに愛してやってもいいんだぜ」
『〜〜〜ッッ!!?』
耳元で少し声を低くして、中也さんから放たれた言葉に頭をボフンッとショートさせた。
そしてクタリと顔から煙を出しつつ中也さんの腕に凭れかかれば、それに合わせて中也さんの顔も近付いてきた。
「プッ、お前ちょろいって言われねえか?」
『中也さんが…あれ、め、めちゃくちゃってどんな…あれ!?え、中也さんが愛とか語るなんておかしくって、愛してやってって…ふあああっ!!!?』
突然声を上げると周りから蝶ちゃん!?と驚いた声が上がる。
しかし目の前の元凶はとてつもなく楽しそうに笑っている。
「俺が語るのがおかしいってお前……」
『だ、って…ッん……ぅ』
また突然、啄むようにキスされた。
チウ、と軽く吸ってから、ゆっくりと離れていった。